十五夜

一葉の書いた「十三夜」という短編を思い出しながら「十五夜」を眺めた。
十五夜を愛でる風習は、アジア各地にあると聞いたことがあります。でも十三夜を愛でる風習は日本だけなのだそうです。

「中秋の名月」、十五夜(芋名月)は今年は令和二年十月一日ですが、毎年変わります。今年の十三夜(栗名月)は、十月二十九日だそうです。

ずいぶん前ですが京都の方とお話しの中で「京都人は十五夜より、少し欠けた十三夜が好きな方が多い」と言っておられました。「東京でも十三夜を見る習慣があるのですか?」「はい、一葉の生きた時代はしっかりあったと思いますが、今は多くの方がテレビなどで知るだけでは無いでしょうか?」そんな会話を思い出します。

「十三夜」は、主人公の女性が名家である嫁ぎ先に馴染めず、耐えきれずに実家に帰った日が十三夜で、ちょうど木戸を開け中に入ろうとするとき、母が息子に「(娘の嫁ぎ先に)十五夜に芋を持っていったのだから、十三夜にも栗を持っていかないと片見月になる」と語ります。
その後、どうして嫁ぎ先に戻る決心をしたのか忘れましたが、子供が可愛く、自分はどうなってもよい、もう一度やり直してみると帰路についたとき、いま自分の人力車をひいているのが初恋の人であることに気がつく。このことも決心の後押しになって家路を急ぐ。そんな内容だったと思う(だいぶ忘れている)。

先ずは「中秋の名月」を楽しみましょう。

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