農業は地方創生の要

自由民主党議員で、先日亡くなった元総務大臣の鳩山邦夫氏の掲げたスローガンが「農業は地方創生の要」だ。  丁度この報道を聞いたとき、東大法学部を首席で卒業した鳩山氏がとてもかなわないと言った志賀櫻氏(2015年12月に死亡)が書いた「タックス・ヘイブン 逃げていく税金(2013年、岩波新書)」を読んでいた。 今年に入り、パナマ文書が話題になって、タックス・ヘイブンという言葉を耳にする機会が増えたが、志賀氏は大蔵省、財務省時代にOECDなどの国際機関で税金に関する国際的な実務に携わっていたスペシャリストであった。  taxhaven 鳩山氏にもどるが、 以前、文京区、台東区を選挙地盤としていたために、何度か演説を聞く機会があった。 政治に興味がない私が、「この人、やるなぁ」っと思ったきっかけは、かんぽの宿をオリックスに二束三文で売り渡すぎりぎりのタイミングで、売却を阻止したことだった。 その後、農業にこだわりを持っていることを知り、また、ご自身が料理作りをされることを知り、親近感を抱いていた。  大店舗法が改正され、日本中にイオンなどの大手スーパーが進出し、地方の特色が薄れ衰退してきている。 かつて地方は農業も工具も、茶碗などの生活道具は地域で生産して消費する、いわゆる地産地消を実現しており、足りないところを補い合う仕組みになっていた。 今や中国などの海外から家庭用品、食料までを仕入れ国内で安く販売する仕組みが定着しつつある。 これが地方を衰退させていることを、はっきり言う政治家は少ない。  日本の強さは、地方が地産地消を行うことで、様々な経験知識が蓄積され、そこから新しい製品やサービスを生み出す強さだ。 その基本は農業だ。 瑞穂の国日本は、長い間農業を大切にしてきた。 その価値観が急速に壊れてく。  「農業は地方創生の要」は、本当にその通りだとうなづく。 二人の大秀才に共通しているのは、単に組織を上滑りし出世するタイプではなく、国の行く末を心配し勇気をもって発言するところだ。 安倍総理の活躍を下支えした鳩山邦夫氏、勇気をもってタックスヘイブンの悪を知らせてくださった志賀櫻氏のご冥福を祈ります。
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