宮澤賢治のことば
宮澤賢治のことば―ほんとうの幸(さいわい)をさがしに /澤村修治

「賢治が残したことばと共にその一生をたどる お茶目でユーモラス、等身大の賢治がここに」とあるように、賢治の残した手紙やノートから、ありのままの賢治を描き出している。
東日本大震災の後、書店に賢治の本が並ぶのを見て違和感を覚えたことを覚えている。
現在の人々が自分を聖人のように感じていると知ったら、きっと驚いたに違いない。
エピソードのひとつに、「冬の寒い中、生徒を夜中に連れ出した花巻遠征」などが挙げられている。
今の常識からは想像もできないことだろう。
私が好きな詩「永訣の朝」の一部が紹介されているが、この詩だけはすべてを載せてほしかった。
井上ひさし氏が、「雨ニモマケズ」の最後の「ソウイウモノニ ワタシハナリタイ」の「ワタシハ」の「ハ」がとても効いているという意味のことをおしゃった。 改めて読んで、なるほどと感じた。
久しぶりにすがすがしい読後感を味わった。
著者の賢治対する温かいまなざしもいい。