阿呆の知恵
大学で教えている先生と食事をしたとき、「ひろさちや」さんの話題が印象に残った。
借りた樋口一葉の小説を返却するため図書館に行ったついでに探したら、たくさんの本があって、有名な方だと知った。
「阿呆の知恵」、「アジアの心、日本のこころ」の2冊を借りた。
阿呆の知恵
努力はするな、四流の人になれ。 読み始め、正直何を言いたいのかはっきり言って欲しいという気分から始まった。
知恵と智慧を使い分けしており、前者は損得勘定に基づくもの、後者は自分が損してお互いに良い状態をつくることのようだ。
海に二人だけ取り残された状態で、一人であれば助かる見込のある場合、一緒に死にましょうというのが「阿呆」で、
あなたもそういう人になって欲しいと言われているが、冗談じゃない。
この方、勉強のしすぎじゃないでしょうか?
ひろ氏の話を紹介してくださった先生は、スローフーズという言葉を日本に広めただけに、智慧を良く知っていると思った。
アジアの心、日本のこころ
編集者が38問の問いを発し、平山郁夫氏とひろさちや氏のいづれかが、これに答える形式で進んでいく。
日本人が大切にしてきた価値観、技術、文化などへの質問から、海外との違い、先の大戦に関する問いなど
盛りだくさんの問いに、丁寧に答えてくださった。
多くの文化は中国、朝鮮を渡って伝えられたという古い、誤った見方がお二人に定着しているのが残念だ。
日本の古墳と同じようにつくられた古墳が韓国で多数見つかったが、どれも日本より100年以上新しいものだけで、
一つも日本より古いものは見つかっていない。
お二人の責任ではないが、起源がはっきりしないものを全て海外だとする歴史学は安直過ぎる。
そういう箇所がいくつか散見されるが、それを引いても読み応えがある。